アボカドを語る上で欠かせないのが「森のバター」という世界的な別名です。この呼称は単なる比喩表現にとどまらず、可食部に含まれる驚異的な脂質含有量とクリーミーな舌触りに由来しています。
一般的な生果実の脂質含有量が1%未満であるのに対し、完熟したアボカドは全体の約15〜20%が脂質(脂肪分)で占められています。果肉の約5分の1が油分という果物は極めて稀有であり、まさに樹木の上に生るバターのような組成を持っています。
特筆すべきは、その脂質の質です。バターなど動物性油脂に含まれる飽和脂肪酸とは異なり、アボカドの脂質の約70%以上は「オレイン酸」を中心とする一価不飽和脂肪酸です。悪玉(LDL)コレステロールを減らし、善玉(HDL)コレステロールを維持する働きが知られており、循環器系の健康維持に寄与する良質な油として評価されています。
1998年版のギネスワールドレコーズ(ギネスブック)において、アボカドは「世界一栄養価の高い果実(Most nutritious fruit)」として公式認定されました。可食部100gあたりの脂質だけでなく、以下の栄養素が濃縮されています。
- カリウム(約720mg):バナナ(約360mg)の約2倍を含有し、余分なナトリウムの排出を促してむくみ予防や血圧管理をサポート。
- 食物繊維(約5.6g):ゴボウにも匹敵する量を誇り、水溶性・不溶性の双方が腸内環境を整える。
- ビタミンE(約3.3mg):強力な抗酸化作用を持ち、「若返りのビタミン」として細胞膜の酸化を防ぐ。
- 葉酸(約84μg):赤血球の形成を助け、細胞の新生に不可欠なビタミンB群の一種。