ADRIFTというブランドの根底を理解するうえで欠かせないのが、オーナーシェフであるデイビッド・マイヤーズ氏の比類なきキャリアです。アメリカ・オハイオ州出身の彼は、伝説的なフランス料理の巨匠ジェラール・パンゴー氏やチャーリー・トロッター氏のもとで徹底的なクラシックの技術を叩き込まれました。
マイヤーズ氏の評価を決定づけたのは、2000年代初頭に米ロサンゼルスにオープンしたファインダイニング「Sona(ソナ)」です。ここで彼は、クラシックなフレンチの技巧にカリフォルニアの瑞々しいオーガニック食材を融合させた革新的な料理を展開。権威あるミシュランガイドにて一つ星を獲得したほか、料理界のアカデミー賞と称される「ジェームズ・ビアード賞」でベスト・ニュー・シェフにノミネートされるなど、一躍トップシェフの仲間入りを果たしました。
その後、世界中を旅しながら土地のスパイスや調理法を吸収するライフスタイルから、メディアは彼を“Gypsy Chef(放浪のシェフ)”と命名。マイヤーズ氏は大の親日家としても知られ、東京・銀座三越に出店した「David Myers Cafe」や「Salt Water by David Myers」などを通じて日本の食通とも深い絆を築いてきました。彼のクリエイティビティは、単一の国境にとどまらない越境性の中に息づいています。