『ある閉ざされた雪の山荘で』結末と犯人の動機!原作との違いを徹底解説

『ある閉ざされた雪の山荘で』結末と犯人の動機!原作との違いを徹底解説

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本作の最大の衝撃は、「誰が被害者を殺したのか」という古典的な謎解きそのものが、精巧に仕組まれた壮大なブラフであった点にあります。真犯人は本多雄一であり、共犯者は麻倉雅美です。演出家・東郷陣平からの招待状やルール説明はすべて偽造されたもので、東郷本人はこのオーディションに一切関与していませんでした。

事件の発端は、かつて劇団内で行われたヒロイン選考に遡ります。群を抜いた演技力で主役に内定していた雅美を妬んだ温子、由梨江、雨宮の3人は、登山合宿の夜、雅美を崖へと誘導し、故意の事故によって彼女の足を奪いました。舞台に立つ夢を断たれ、絶望の中で自殺未遂を図った雅美。彼女を誰よりも深く愛し、その才能に魅了されていた本多は、3人の卑劣な犯行の証拠を掴み、復讐の計画を練り上げます。

しかし、雅美が望んだのは単純な私刑ではありませんでした。「自分の絶望を、同じ役者として味わわせたい」という雅美の願いを受け、本多は標的となった温子、由梨江、雨宮の3人に事前に接触します。「雅美はお前たちの罪に気付いている。このままでは警察に告発されるか、本当に殺される。生き残りたいなら、オーディションの舞台稽古という名目で『殺されたフリ』をして山荘から姿を消せ。そうすれば雅美の気も済む」と持ちかけたのです。

3人は保身と贖罪のため、自らが殺害されたように見せかける「偽装工作」に喜んで加担しました。つまり、劇中で発生した1人目・2人目・3人目の殺人は、すべて被害者自身が演出した狂言だったのです。現場に残された血痕はトマトジュースや模造血液であり、深夜に密かに遺体を運び出すような不自然な物音も、被害者が自発的に隠れ部屋へ移動していただけでした。

ところが、本多の計画にはさらに暗い裏の顔が存在していました。本多は3人に「狂言殺人」だと信じ込ませて油断させた上で、最終夜に本当に3人を毒殺しようとしていたのです。「偽りの死劇」を真実の殺人へと昇華させ、雅美への復讐を完遂させる――それが本多の描いた真のシナリオでした。この恐るべき二重トラップを、外部からの闖入者であった久我の鋭敏な観察眼が土壇場で暴き、間一髪のところで本物の惨劇を防ぐことになります。

山口 彩花
著者

山口 彩花

グルメと旅を愛するフリーライター。全国各地の隠れた魅力を独自の視点から紹介します。