この問題に対し、学術界はどう向き合っているのだろう。地震学と海洋生物学の両分野からのアプローチが続いてきた。かつて『NHKスペシャル』などのドキュメンタリー番組でも特集されたように、断層が破壊される直前に発生する微弱なパルス状電磁波が、イルカの体内磁石(エコーロケーション機構)を狂わせるという仮説が存在する。
東海大学の元教授である長尾年恭氏をはじめとする研究者たちは、いわゆる生物地震前兆現象の可能性を排除せず、観測データの収集を継続してきた。地殻の歪みによって生じる水質変化や超低周波音、あるいは電磁気的異常。これらを敏感な海棲哺乳類が察知してパニックを起こし、浅瀬へ迷い込むという理論モデルだ。しかし、再現性のある実証データとしては、いまだ決定打を欠く。