ピースワンコジャパンの書類送検理由の根底にあったのは、「全頭引き取り」という高すぎる数値目標と、現場の物理的・人的キャパシティの完全な乖離でした。当時の実態を検証すると、単なる噂にとどまらない深刻な構造的破綻が見えてきます。
関係者の証言や当時の調査資料によると、神石高原町のシェルターには一時期3,000頭近くの保護犬が詰め込まれていました。引き取りペースに施設の増設とスタッフの確保が追いつかず、1つのケージやパドックに十数頭以上がひしめき合う過密状態が発生。現場では犬同士の激しい闘争や咬傷事故が頻発し、命を救うはずの場所で命を落とす本末転倒な事態が日常化していたと報告されています。
さらに深刻だったのが、不妊去勢手術の遅延です。野犬や未避妊の成犬が混在する環境下でシェルター内繁殖が起き、保護した犬から新たな子犬が生まれるという、保護施設としてあってはならない悪循環が発生。これが「実質的な多頭飼育崩壊ではないか」と専門家や愛護団体から厳しく指弾された核心的理由です。
狂犬病ワクチンの未接種に関しても、団体側は「野犬由来で保定が極めて危険な個体が多数おり、物理的に獣医師が注射を打てない事情があった」と釈明しましたが、法治国家において法定伝染病の予防義務を長期間怠っていた事実は弁解の余地がなく、行政指導を複数回受ける決定打となりました。