オープニングムービーの準備において、現在最も厳格な管理が求められているのが「音楽著作権」および「著作隣接権」のクリアです。「個人が趣味で作る動画だから問題ない」「CDショップや正規配信で買った音源だから自由に使っていいはずだ」という誤った認識は、披露宴直前になって取り返しのつかないトラブルを引き起こす引き金になります。
市販の音源を映像データと一緒にDVDやBlu-rayなどのメディアへ記録する行為は、著作権法上の「私的使用のための複製」の枠組みを超え、「録音権・複製権」の侵害に該当します。式場は営利を目的とした不特定多数が集まる空間であるため、法的な許諾なしに市販楽曲を焼き付けた自作ムービーを上映することは明確な違法行為となります。
この複雑な手続きを一元管理し、適正な利用環境を整備しているのが一般社団法人音楽特定利用促進機構(通称:ISUM / アイサム)です。
⚠️ 自作ムービー派が必ず押さえるべき「ISUM申請」の仕組みISUMへの利用申請は、個人(新郎新婦)が直接行うことは原則できません。提携しているブライダル事業者、持ち込み映像制作会社、または正規の申請代行業者を経由して手続きを行います。申請が完了すると、適法に複製された証拠として「許諾シール」が発行され、ディスク盤面やケースに貼付して会場へ提出する流れが一般的です。
現場の音響担当者への取材によると、2024年以降コンプライアンス遵守を徹底する式場が急増しており、「ISUMの正規許諾シールがない持ち込みDVDは、当日いかなる理由があっても再生をお断りする」という運用が完全に定着しています。上映直前のリハーサルで無音上映を余儀なくされたり、急遽フリー音源への差し替えを迫られるといった悲劇を防ぐためにも、使用したい楽曲がISUMの登録楽曲リストに掲載されているかを制作初期の段階で必ず確認しなければなりません。
なお、どうしてもISUM未登録の楽曲を使用したい場合の現実的な回避策として、映像側は無音で制作しておき、会場の音響機器を使って「市販CD原盤を会場内で同時再生(頭出し再生)する」という手法が存在します。これであれば「演奏権(式場側が包括契約しているJASRAC等への支払い)」の範囲内で合法的に処理できるケースが多いため、プランナーに事前の相談を行うのが賢明です。