獅子丸というキャラクターを国民的人気者に押し上げた最大の功労者は、1981年のテレビアニメ放送開始から長年にわたり声を担当した声優・緒方賢一です。
緒方賢一は、愛嬌たっぷりの鼻声と変幻自在のアドリブで獅子丸に唯一無二の命を吹き込みました。「ちくわ〜」「〜だワン」という短い台詞の中に、甘え、怒り、とぼけ、友情といった多彩な感情を込め、視聴者を惹きつけました。後のインタビューや制作関係者の証言によると、現場での緒方のアドリブがそのまま作画に逆輸入され、獅子丸の表情や動きがさらに豊かになっていった経緯が明かされています。
日本国内でのレジェンド的人気にとどまらず、2010年代以降にインドで爆発的ヒットを記録した新作アニメシリーズ(シンエイ動画とインドのアニメ制作スタジオによる共同制作)においても、獅子丸の愛くるしい造形と分かりやすいキャラクター性は現地の子どもたちを熱狂させました。言語や文化の壁を軽々と越えて愛される獅子丸の存在は、藤子アニメが生み出したキャラクターデザインの最高到達点の一つと言えます。