春から初夏にかけて日本の食卓を彩る「タケノコ」にも、笹と竹の明確な違いが反映されています。スーパーの店頭に並ぶずっしりと太く、茶褐色の毛に覆われたタケノコは、その大半がモウソウチクやマダケなどの大型の竹の若芽です。掘りたてには独特の甘みと歯ごたえがありますが、収穫から時間が経つとシュウ酸などのアクが強くなるため、米ぬかを使ったアク抜きの下処理が欠かせません。
これに対し、東北や信越地方の郷土料理や天ぷら、炉端焼きなどで親しまれる細身の「姫竹(ヒメタケ)」は、別名「根曲がり竹」と呼ばれるチシマザサ(千島笹)の若芽です。名前に「竹」の字が含まれているため誤解されやすいですが、植物学上は正真正銘の「笹の仲間」に分類されます。
姫竹は一般的なタケノコに比べてアクやえぐみが極めて少なく、皮をむいてそのまま丸焼きにしたり、味噌汁の具材にしたりと、柔らかく上品な香りと甘みをダイレクトに味わえるのが大きな魅力です。同じ若芽であっても、竹由来か笹由来かによって風味や調理法が大きく異なります。