第260話におけるもう一つの白眉は、東堂葵不義遊戯の改造理由とその驚異的なスペックの開示です。渋谷事変で自らの左手を失い、術式が完全に死んだと見なされていた東堂が、なぜ再び戦場の支配者として君臨できたのか。その鍵は左腕に装着された特殊な打楽器「ビブラスラップ」にありました。
掌同士を打ち合わせる従来の「拍手」という発動契機を捨て、金属の球と木箱が接触して振動する打楽器の構造を自らの義手として組み込むことで、発動条件の「縛り」を再定義。1回の振動で複数回の衝突を生み出すビブラスラップの特性を活かし、1秒間に最大約50回という超高頻度の位置入れ替えを可能にしました。
この異常な手数は、宿儺ほどの知略と経験を持つ術師であっても軌道予測を完全に不能に陥れました。入れ替える対象には呪力を持つ物体だけでなく、結界の破片や術式の残滓まで柔軟に組み込まれており、宿儺に対する完璧な精神的・空間的包囲網を完成させたのです。