SNSや知恵袋、健康系掲示板で定期的に拡散されるのが「口内炎にはちみつを直塗りすると一晩で治る」という民間療法です。実際に試したユーザーからは「飛び上がるほどしみたが翌朝痛みが引いた」という絶賛の声がある一方、「激痛に耐えただけで全く変わらなかった」「虫歯になりそうで怖い」という落胆の投稿も少なくありません。
はちみつの殺菌効果と口内炎の真相を科学的に紐解くと、確かに高純度のはちみつ(特に医療用グレードやマヌカハニー)にはグルコースオキシダーゼ酵素由来の微量な過酸化水素や高い浸透圧による静菌作用が存在します。塗布した瞬間に浸透圧差で細菌から水分を奪い、患部の脱水を促すことで一時的な抗炎症作用が得られるのは事実です。
しかし、市販の安価な加糖はちみつでは殺菌効果が薄いばかりか、糖分がそのまま口腔内に残留して虫歯菌や他の雑菌の格好のエサになってしまいます。さらに就寝前に塗布して放置する行為はデンタルケアの観点から極めてリスクが高いと言わざるを得ません。天然由来のケアに過度な幻想を抱くよりも、医薬部外品として成分が規格化された洗口液による口内炎予防や殺菌うがいを選択する方が、確実性・安全性ともに圧倒的に勝ります。
同時に見逃せないのが、唾液分泌と口内環境の改善詳細まとめに示される生体本来の防御力です。唾液にはリゾチームやラクトフェリン、IgAといった強力な抗菌物質が豊富に含まれています。ガムを噛む、耳下腺や顎下腺をやさしくマッサージする、水分をこまめに補給するといった地道なアプローチで唾液の分泌量を保つことが、細菌のコロニー形成を阻害する確かな防壁となります。