松山ケンイチさんと小雪さんが東京と北海道を行き来する二拠点生活へ踏み切ったのは、2018年から2019年にかけてのことでした。東京での生活が年の半分、残りの半年ほどを北海道の自然豊かな地域(道南エリアの一軒家)で過ごすという変則的なデュアルライフスタイルです。
松山さん自身、青森県むつ市出身であり、山や海に囲まれた環境で少年時代を過ごしました。自身が親となった際、東京の整いすぎた都市生活に対して抱いた強烈な違和感を、雑誌の手記やテレビインタビューで次のように語っています。
「スーパーに並んでいる切り身の魚やパックの肉を見て、子供たちが『命をいただいている』という感覚を持てないことに怖さを感じた。自分で種を蒔いて作物を育てたり、雪をかき分けたりする経験を通じてしか学べないものがある。」
北海道の自宅では、広大な敷地で野菜を育てる本格的な家庭菜園を営むだけでなく、害獣駆除の現場に松山さん自身が立ち会い、獲れた鹿の皮を廃棄せずに再利用するアップサイクルブランド「momiji(モミジ)」を立ち上げるなど、活動は単なる「週末の田舎体験」の域をはるかに超えています。
小雪さんもまた、無農薬の食材を使った発酵食や薬膳料理を日々の食卓に取り入れ、子供たちと共に土に触れる暮らしを実践。自給自足の営みを通じて「便利さの裏側にある労力と命への敬意」を伝えることこそが、夫妻が実践する子育て教育方針の根幹を成しています。