キングオブコントの歴史は、採点システムの激動の歴史でもあります。黎明期である2008年から2013年までは「準決勝敗退芸人100名による無記名採点」という過酷なピアレビュー形式が採用されていました。このシステムは同業者の厳しい鑑識眼を反映する一方、「ウケ量の絶対値」が重視され、繊細な間や緻密な伏線回収が見落とされやすい側面を抱えていました。
転換点となったのは2015年のレジェンド審査員制の導入、そして2021年における歴代王者審査員(飯塚悟志、小峠英二、秋山竜次、山内健司)への刷新です。第一線でコントを作り続ける現役クリエイターが採点席に座ることで、舞台上のギミック、セリフのトーン、キャラクターの解像度に対する講評の厚みが飛躍的に増しました。
「この設定なら普通はこう展開させるところを、あえて外して人間の狂気を描いている」(飯塚悟志氏の過去講評より)といった専門的な視点が番組内で言語化されるようになったことで、視聴者の鑑賞リテラシーも向上。単なるバラエティ番組の枠を超え、演劇論や脚本論の文脈で大会全体が論じられる構造が完成したのです。