多くの読者が最も気にする「二人は離婚したのか」という疑問ですが、二人は離婚していません。物語の結末において、夫婦は法的な婚姻関係を解消せず、夫婦として同居を続ける選択をします。
ラストに至る過程で、著者は夫以外の男性と一度だけ性交渉を試みる出来事(著者の側には身体的欠陥がなく、他の男性とは挿入可能であった事実)に直面します。また、夫自身も風俗で他の女性とは挿入できていたことが発覚し、「お互いの組み合わせにおいてのみ物理的に交われない」という決定的な現実に打ちのめされます。
普通であれば破綻へと直行するはずの絶望的な事実を前に、二人は激しくぶつかり合いますが、最終的に「入らない」という欠落を受け入れます。「普通」の夫婦という枠組みを完全に手放し、身体の繋がりを超えた唯一無二の共同生活者・人生の戦友として生きていくことを誓い合って物語は幕を閉じます。