黄色い花は濡れ衣?ブタクサとセイタカアワダチソウの決定的な違い

黄色い花は濡れ衣?ブタクサとセイタカアワダチソウの決定的な違い

黄色い花は濡れ衣?ブタクサとセイタカアワダチソウの決定的な違いとはどのようなものなのか? 主要なファクトを整理してお届けします。

河川敷や鉄道の沿線、高速道路の法面などを秋に埋め尽くす鮮烈な黄色い花群。長年、多くの人々があの黄色い花を「ブタクサ」だと思い込み、秋の花粉症の元凶として敵視してきました。しかし、日本アレルギー学会や環境省の報告資料が示す通り、一面に咲き誇るその黄色い植物の正体はセイタカアワダチソウ(背高泡立草)です。そして驚くべきことに、セイタカアワダチソウは空気中に花粉を飛散させません。

なぜこれほどまでに大規模な冤罪が定着してしまったのでしょうか。背景には、1960年代から1970年代にかけての高度経済成長期におけるメディア報道と、人間の認知バイアスが深く関わっています。当時、北米からの輸入原木などに付着して急速に全国へ拡大したセイタカアワダチソウは、その圧倒的な繁殖力と派手な黄色い姿で社会現象となりました。同時期に急増した秋の鼻炎被害と結びつけられ、「あの毒々しいほど目立つ黄色い雑草が花粉症を引き起こしている」という言説がまことしやかに広まったのです。

心理学でいう「ハロー効果」の逆パターン、すなわち目立つ外見の対象にネガティブな属性を無意識に結びつけてしまうスケープゴート現象が、植物の世界でも起きていたといえます。実際には、セイタカアワダチソウの花粉は粘り気があって重く、昆虫が花蜜を求めて運ぶ「虫媒花(ちゅうばいか)」の構造を持っています。風によって自然に空気中を漂うことは物理的にあり得ず、鼻腔内に大量に吸い込まれるリスクは極めて限定的です。

林 結菜
著者

林 結菜

エンタメ・カルチャー業界の深掘り取材を得意とし、現場のリアルな声をお伝えします。