火災の規模が大きかっただけに、被災したドライバーたちが直面したのがマルハン厚木北 損害賠償の実務的な壁でした。日本の法律体系において、火災被害の責任追及には極めて特殊な法理が存在します。
日本には明治時代に制定された「失火ノ責任ニ関スル法律(失火責任法)」が存在し、火元に「重大な過失」が認められない限り、民法第709条の不法行為に基づく損害賠償責任は免除されます。本件においても、出火元のドライバーに法令違反や著しい整備不良といった重過失は認定されず、また店舗側(マルハン)の施設管理にも瑕疵(過失)が認められなかったため、「火元ドライバーや店舗に全額弁償してもらう」という法的請求は極めて困難という現実が突きつけられました。
結果として、被害車両の補償は各オーナーが自ら加入していた「車両保険」によって賄われるケースが大半を占めました。しかし、限定特約(エコノミー型)では「火災」が担保対象外となっていたり、そもそも車両保険を付帯していなかったドライバーにとっては、車を突如として失いながらローンだけが残るという極めて不条理な痛みを強いられる結果となったのです。