職場のストレスや家族問題に悩む読者が救われたと語るのが、小林正観名言人間関係のパートです。氏は「人間関係の悩みの原因はすべて、自分が相手を思い通りに変えようとすることから始まる」と喝破しました。相手を変えようとするエネルギーを完全に放棄し、「自分が喜ばれる存在になること」「頼まれたことを淡々とこなすこと」に徹すると、敵そのものが存在しなくなると説きます。
この考え方が最も試されたのが、氏自身の実生活でした。正観氏の長女は重い知的障害を持って生まれました。当初は絶望し、奇跡的な回復を祈った時期もあったと講演で述懐されています。しかし、ある時「この子は私を試すために来たのではなく、無条件の愛を教えるために来てくれたのだ」と180度認識を転換しました。「治す」「改善する」という自我の執着を手放し、存在そのものを感謝して受け入れた経験が、後の小林正観病気受け入れの教えの土台となっています。
病気を「敵」として攻撃するのではなく、「今まで酷使してきた体を労わるサイン」として受け止め、患部に対して「頑張ってくれてありがとう」と語りかける。現代の心身医学や緩和医療で注目される「心理的アクセプタンス(受容)」のアプローチを、氏は平易な言葉で何十年も前から提唱していました。問題を敵視して力むのをやめ、脱力して現実と和解する姿勢こそが、多くの人の心を縛る呪縛を解いてきたのです。