世界に目を向けば、優秀なAI研究者や量子物理学者には、新卒であっても数千万円のオファーが提示される時代だ。アメリカのシリコンバレーや、中国の主要研究所と比較するまでもなく、国内のIT大手や外資系コンサルティングファームと比べても理研の給与は見劣りする。
かつては「理研で研究ができる」というステータス自体が、低い給与を補うインセンティブになっていた。しかし、長引くインフレと実質賃金の低下が、そのブランド信仰を打ち砕きつつある。優秀な若手ほど、博士課程修了後に民間企業へ就職するか、あるいは海外の大学へと旅立っていく。愛国心や研究への情熱だけで引き留められる限界は、とっくに超えているのだ。