予防医学の基本原則は、罹患後の対症療法ではなく、日常的なリスク因子の継続的な排除にある。この視点に立つならば、黒糖を「薬効を期待する健康食材」ではなく「嗜好品としての遊離糖類」と冷静に位置づけ直さねばならない。
農林水産省や世界保健機関(WHO)が示す指針に基づけば、1日の遊離糖類摂取量は総エネルギーの5%未満、重量換算でおよそ25グラム(大さじ2杯強)以内が望ましいとされる。この枠には料理用の調味料や加工食品に含まれる糖分もすべて含まれる。日常的に黒糖の塊をおやつ代わりに口へ運び、さらに料理にもふんだんに使っていれば、あっという間に安全圏を突破する。糖の過剰摂取がもたらす慢性炎症は、じわじわと全身の組織を蝕んでいく。