戦術のアップデートを繰り返す指揮官だが、その根底にある哲学は揺らいでいない。現役時代の経験、そしてサンフレッチェ広島を率いてJリーグを3度制覇した時代に培った「チームの和と個の自立」のバランス感覚である。広島時代に磨き上げた組織的守備と堅守速攻の設計図は、今や欧州組を操るためのグローバル仕様へと見事に昇華された。
日本サッカー協会が異例の長期政権を託した理由は、まさにこの進化のスピード感にある。単に目先の勝利を拾い集めるだけでなく、育成年代から代表トップチームに至るまでのプレースタイルを統一し、世界基準のインフラを整えること。協会首脳陣と指揮官の間で共有されている確固たるビジョンが、ピッチ上の躍進を力強く下支えしている。