1950年代半ば、松竹に入社して本格的なスクリーンデビューを果たした嘉葎雄は、その後東映へと移籍し、本格的な黄金期を迎える。時代劇が娯楽の頂点に君臨していた時代、プログラムピクチャーの過密な撮影スケジュールに追われる日々は過酷を極めた。
映画会社の移籍や興行界の急激な変化は、役者の生活基盤を容易に揺るがす。興行収入のプレッシャーや批評家の厳しい視線に晒されるなか、家庭という逃げ場がいかに機能していたか。どんなに不安定な状況であっても取り乱さず、どっしりと構えていた妻の内助の功があったからこそ、彼は流行に流されない骨太な役者へと成長することができた。