斜めがけバッグが性別の境界線を完全に超えられたのは、世界的なユニセックスファッションの定着と無縁ではない。メンズとウィメンズの垣根が消失したコレクションにおいて、バッグは体型を選ばないジェンダーレスなアクセサリーとして君臨している。その主役となったのが、実用性を重んじるストリートウェアのコードだ。
1980年代に工業用ポコノナイロンをハイファッションへ持ち込んだプラダの英断は、現代のミニマリズムの設計図となった。現在ストリートで熱狂的な支持を集めるのは、軽量で強靭なリサイクルナイロンやミニマルな立体ポケットを備えたボディバッグ型だ。スーツにテクニカルなクロスボディを差し込む、あるいはオーバーサイズのフーディに極小レザーバッグを添える。対比の妙を楽しむスタイリングは、もはや一時的な流行ではなく、都市生活における新たなドレスコードとして定着した。