時間が経過した後の安全性と味のバランスにおいて、日本の調味料メーカーが果たす役割は極めて大きい。味の素株式会社の基礎研究によれば、温度が下がると人間の舌は甘味や塩味を感じにくくなる一方、うま味成分(グルタミン酸やイノシン酸)は低温下でも知覚感度が落ちにくい特性を持つ。だしの相乗効果やアミノ酸を上手に補うことで、過剰な塩分に頼ることなく、冷めても奥行きのある味わいが成立する。
また、キッコーマン株式会社が蓄積してきた醤油や本みりんの醸造知見は、保水性と防腐性の両立に威力を発揮する。本みりんに含まれる複合糖類とアルコールは、肉や魚の生臭さを消し去るだけでなく、タンパク質の熱凝固を和らげ、時間が経ってもふっくらとした柔らかさをキープする。抗菌作用を持つ酢や梅干し、生姜などの薬味を隠し味として忍ばせる設計は、傷みやすさを防ぐ上でも極めて理にかなった選択だ。