出版界の既存ルートに依存せず、自らの言葉だけで読者を獲得していくプロセスにおいて、彼の足跡は極めて現代的だ。ウェブ小説プラットフォームのカクヨムへの投稿や、文学フリマでの手売り、さらにはAmazon Kindleを通じたセルフパブリッシング。こうしたインディペンデントな発信活動が、すべての発火点となった。
従来の文芸シーンが掬い上げきれなかった、あまりに露骨で不格好な生の記録。それらはネット上の好事家たちの間で静かに、だが確実に共有されていった。誰にも検閲されない無防備な独白は、スクリーンの向こう側にいる読者の孤独と共鳴し、熱狂的な口コミを生み出す原動力となったのだ。