施設創設の根底にあるのは、一人の男の執念だ。自らも失明の苦難を経験した本間一夫が、1940年に前身となる施設を立ち上げた。当時、視覚障害者が手に入れられる本は極めて限られていた。知識を求める仲間たちの飢えを癒やしたい。その切実な思いが、私財を投げ打ってのライブラリー開設へと駆り立てたのだ。
戦争の混乱期を乗り越え、日本の視覚障害者福祉の礎を築いた功績は計り知れない。点字盤に向かい、一針一針文字を刻む手作業から始まった挑戦は、やがて全国の読書困難者へと広がる大きなうねりとなった。時代が変わっても、創業者の「読む権利を守る」という情熱は、今も館のすみずみにまで息づいている。