気弱だが音楽への情熱だけは人一倍強い主人公・古山裕一を演じた窪田正孝。そして、その妻として時に優しく時に力強く支え続けた音役の二階堂ふみ。このふたりが醸し出した空気感こそが、本作を特別な名作へと押し上げた最大の原動力だ。
窪田正孝は、指揮棒を振るシーンや楽譜に向き合う迫真の表情で、天才作曲家の狂気と孤独、そして愛を見事に表現した。吹き替えに頼らず、全身全霊で鍵盤に向き合う姿には、視聴者の誰もが息を呑んだ。一方で、二階堂ふみは劇中での本格的な声楽シーンを自らの歌声で熱演。オペラ歌手を目指すヒロインの葛藤を圧倒的な声量と表現力で演じ切り、本物のシンガーさながらの存在感を解き放った。
ふたりは連続テレビ小説の枠を超え、日本を代表する実力派としての確固たる評価を決定づけた。現在も第一線の映画や舞台、話題作の主演として圧倒的な演技を披露し続けており、その原点とも言える互いの信頼関係がスクリーンの端々から漂っていた。