すべてが始まったのは1945年7月16日、アメリカ・ニューメキシコ州の荒野「ジョルナダ・デル・ムエルト(死の旅路)」で行われた人類史上初の核実験、すなわちトリニティ実験であった。第二次世界大戦の極秘プロジェクトであるマンハッタン計画の頂点として行われたこの実験で、プルトニウムを用いた爆縮型核兵器「ガジェット」が炸裂した瞬間、夜明け前の砂漠は真昼以上の白光に包まれた。
爆心地から立ち上った噴煙は、わずか数分で高度12キロメートルの対流圏界面に到達した。当時の科学者たちは、火球が大気中の窒素に引火して地球全体を焼き尽くすのではないかという極限の恐怖と隣り合わせでその光景を見つめていた。観測用の分光器やバンカーに設置されたカメラが捉えた最初の煙柱は、科学の進歩が不可逆的な破壊力と結びついた歴史の分岐点そのものだった。