画面の向こうのアルゴリズムは、私たちの過去の閲覧履歴をもとに「好きそうなもの」を完璧に差し出してくる。予測通りで心地よいが、そこに想定外の驚きはない。一方で、ここで展開されている棚作りは徹底して人の眼差しと直感に基づいている。
大型文芸書の隣に自費出版の写真集が差し込まれ、海外の建築雑誌の横に現代詩の冊子が並ぶ。一見脈絡のないような配置の裏に、キュレーターの確かな文脈が潜む。背表紙を追う指がふと止まり、まったく予定していなかった一冊を衝動的に手にしてしまう——その非合理的な瞬間こそが、物理的な本屋を訪れる最大の醍醐味と言える。