事件発生直後から和歌山県警察は大規模な捜査本部を立ち上げ、全国から注目を集めた。しかし、逮捕までに数年という異例の歳月を要した事実こそが、この事件の捜査が直面した困難さを如実に物語っている。体内から検出された覚醒剤の摂取経路を特定することは困難を極め、現場鑑識や家宅捜索でも決定的な物証は浮上しなかった。
状況証拠の積み重ねだけで有罪判決を導き出せるのか。事件報道・調査報道に携わるジャーナリストたちの間でも、警察・検察の立証方針には厳しい視線が注がれている。疑わしきは罰せずという刑事司法の鉄則と、社会的な処罰感情との狭間で、和歌山県警の捜査手法そのものが問われる局面を迎えている。