プラスチックファスナー(一般に射出成形された「ビスロンファスナー」やナイロン樹脂の「コイルファスナー」)が外れたり噛み合わなくなったりする背景には、明確な力学的理由が存在します。
金属製と異なり、プラスチックファスナーのエレメント(噛み合う爪の部分)は柔軟性がある反面、経年劣化や過度な負荷による「歪み」や「摩耗」が発生しやすい特性を持ちます。トラブルの約7割は、エレメント本体ではなく「スライダー内部の摩耗・開き」に起因しています。
スライダーは長年開閉を繰り返すうちに、内部の隙間が上下・左右にわずかに押し広げられていきます。隙間が規定値を超えると、左右のエレメントを規定の角度で押し込む圧力が足りなくなり、「閉めた直後から下が開いてしまう」という現象を引き起こすわけです。この状態であれば、エレメント自体が無傷である限り、スライダーの胴体部分をペンチで軽く挟んで隙間を狭めるだけで、劇的に噛み合わせが復活します。