不死川実弥が柱合会議や無限城決戦において、実質的な主力アタッカーとして君臨できた背景には、呼吸の技量だけに留まらない3つの特異な要素が存在します。
第一に、劇中でも稀少とされる「稀血(まれち)」の中でも極めて濃厚な毒性を宿している点です。実弥の血の匂いを嗅いだ鬼は、まるで酩酊状態に陥り、感覚器官が麻痺して動きが鈍ります。黒死牟のような千年生きた上弦の鬼でさえ、実弥の出血によってわずかな反応遅延を強いられました。自らの傷を攻撃の布石に変える捨て身の戦術は、実弥にしか実行不可能です。
第二に、変則的かつ泥臭い実戦対応力が挙げられます。正規の隊士として育手を介さず、鬼殺隊に入る前から我流で鬼狩りを続けていた実弥は、刀一本に固執しません。足指で敵の武器を奪い、玄弥の南蛮銃を瞬時に扱い、さらには火炎瓶や油を用いたトラップ戦法まで躊躇なく投入します。形式美にとらわれない野生の勘が、風の呼吸の攻撃性を何倍にも増幅させています。
第三に、内臓が飛び出るほどの致命傷を筋肉で締め上げて封じる常軌を逸した肉体制御です。激戦の中で失神すら許さぬ闘争本能が、最後まで技のキレを落とさない持久力を支えています。