視覚的なアプローチにおいても、『少年』は従来のプロモーションビデオの常識を覆しました。ファンの間でいまも語り草となっている黒夢『少年』のPVロケ地は、装飾を極力排した荒涼とした廃工場や倉庫街、埃っぽい屋外の空き地で撮影されています。巨大なセットや派手なCGに頼ることなく、モノトーンに近い荒々しい色調とハンディカメラの粗い映像粒子が、剥き出しのバンドの存在感を際立たせました。
そして、この曲の真価は現場でこそ発揮されました。数ある黒夢『少年』のライブ映像の中でも、1997年10月31日に敢行された新宿アルタ前でのゲリラライブは伝説中の伝説です。告知なしにもかかわらず数千人の群衆が新宿東口を埋め尽くし、清春が叫び、人時がベースを振りかざした数分間の熱狂は、警察の出動によってわずか2曲で強制終了となりました。
さらに、活動休止直前となった1999年1月の東京ベイNKホール公演の映像では、もはやポップソングとしての面影をかなぐり捨て、凄まじいスピードと激情で叩きつける姿が記録されています。商業的な成功の頂点にいながら、その栄光を自ら踏みにじるようなパフォーマンスは、今見ても鳥肌が立つほどの鬼気迫る空気を放っています。