「今日は何日だったか」「薬は昼の分を飲んだだろうか」。こうした日々の小さな迷いは、高齢者自身の自信を削ぎ、精神的な不安を引き起こす要因となる。介護業界の現場スタッフが異口同音に語るのは、時間や日付の感覚(時間的見当識)を維持することの決定的な重要性だ。厚生労働省が推進する地域包括ケアシステムの構想においても、可能な限り住み慣れた自宅で自立した生活を送るためには、日常的なセルフケアと生活リズムの維持が不可欠とされる。
生涯現役を掲げて心身の健康維持を訴え続けた医師の日野原重明氏も、明日の予定を持ち、一日の時間を意識して過ごすことの効用を強調していた。視力が低下した高齢者でも一目で今日が何日であるかを把握できる太字フォントや、コントラストの明確なカラーリングは、脳に安心感を与えるための視覚的アプローチそのものなのだ。