ラッセン人気を全国規模へと押し上げた要因の一つに、高品質な版画作品の存在がある。1980年代から90年代にかけては、職人の手作業による鮮烈な発色が特徴のシルクスクリーンが作品の主流を占めていた。色ごとに版を重ねるこの伝統技法は、澄み切った海のグラデーションを再現するのに最適なメディアであった。
しかし、彼の探求心はそこで止まらなかった。2000年代以降、デジタル技術と伝統的版画を融合させたミクスドメディアの採用により、表現力は飛躍的な進化を遂げる。手彩色によるハイライトの加筆や、ダイヤモンドダスト、金属箔の混入など、原画が持つ深みや輝きを版画上でより緻密に再現することが可能となった。これにより、同じ図柄の版画であっても、光の当たり方によって刻一刻と表情を変える独特の質感が生まれている。