インターネット上の質問掲示板やSNSでは、「湿布かぶれにはオロナインを塗っておけば一晩で治る」「お風呂で温めて血行を良くすれば毒素が抜ける」といった民間療法が今なお散見されます。しかし、これらは皮膚科学の基礎を完全に無視した危険な誤解です。
まず検証すべきは、家庭の常備薬として親しまれるオロナインH軟膏の誤用問題です。前述の比較表で示した通り、オロナインの有効成分は殺菌消毒薬である「グルコン酸クロルヘキシジン」です。切り傷やすり傷、化膿したニキビのように「細菌の侵入・増殖を阻止したい病態」には極めて有用ですが、湿布かぶれは細菌感染症ではありません。体内アレルギーや化学的刺激による「無菌性の免疫性炎症」に対し、殺菌成分を塗り込んでも消炎効果は期待できず、むしろ傷ついたバリア組織を刺激し、添加物による接触アレルギーを二次誘発するリスクを孕んでいます。
さらに致命傷となりやすいのが、「温めて血行を促す」という誤った対処です。湿布かぶれの患部をお湯に浸けたり、入浴時にナイロンタオルで擦ったり、使い捨てカイロを当てたりする行為は破滅的です。体温の上昇に伴って血管拡張とマスト細胞からのヒスタミン遊離が爆発的に加速し、耐え難い掻痒感を引き起こします。その結果、無意識に掻き壊して表皮が剥離し、細菌による二次感染(とびひ様症状)や真皮層の破壊へ至るケースが頻発しています。