楽曲単体のクオリティもさることながら、爆発的ヒットの直接的なトリガーとなったのは、太郎本人が手掛けた自主制作のミュージックビデオでした。使用されたツールはプロ仕様のアニメーションソフトではなく、全PCユーザーに馴染み深いWindows標準のペイントソフトでした。
白地に黒い線だけで描かれた、いわゆる「棒人間」が、サビの「男女男男女男女」に合わせて左右にステップを踏み、腰を前後に振る独特の振り付け。この極限まで削ぎ落とされたビジュアル表現には、以下の3つの拡散エンジンが内包されていました。
- 圧倒的な模倣のハードルの低さ:複雑なセル画アニメーションと異なり、静止画数枚を切り替えるだけで誰でも再現できたため、アマチュアクリエイターの創作意欲を刺激した。
- MAD動画フォーマットとしての汎用性:当時隆盛を誇っていた『涼宮ハルヒの憂鬱』『THE IDOLM@STER』『東方Project』『コードギアス』などのキャラクターに棒人間の動きをトレースさせる二次創作が爆発的に増殖した。
- コメント機能との親和性:ニコニコ動画特有の弾幕機能により、サビの部分で画面いっぱいに「男女男男女男女」の文字が埋め尽くされる連帯感が、視聴者を共犯者へと仕立て上げた。
当時のネットコミュニティのログを振り返ると、「気がついたら1時間ループ再生していた」「テスト勉強中に頭の中でリフレインして集中できない」といった悲鳴交じりの称賛が溢れていました。視覚的な脱力感と聴覚的な鋭利さのギャップこそが、ネットユーザーの防壁を突破した最大の武器だったといえます。