海岸線にそびえ立つ巨岩「つぶて岩」と海中鳥居。地元で古くから語り継がれる伝承によると、その昔、伊勢の神々(天照大神をはじめとする神々)が伊勢の浜辺で力比べを行い、石を遠くへ投げ競ったといいます。その際に神々の手から放たれた巨石が、伊勢湾をひとっ飛びしてこの知多半島の海岸に落ちて突き刺さったものが、現在の「つぶて岩」であると伝えられています。
「つぶて」とは小石や投げ石を意味する言葉ですが、神々にとっては巨大な岩塊すらも掌中の小石に過ぎなかったという、スケールの大きな神話的世界観が名称の由来となっています。
そして、海中に立つ鳥居が正面に見据えている方角を地図上で正確にたどると、伊勢湾を直線で渡った先にある伊勢神宮の鎮座地へと真っ直ぐに繋がります。かつて伊勢へ船で渡ることが困難だった時代、知多半島の人々は対岸に広がる伊勢の神域に祈りを捧げるため、この地に鳥居を建てて伊勢神宮遥拝所としました。つまり、つぶてヶ浦の鳥居は単なる景勝地のオブジェではなく、海を隔てた神域とこちらの現世を結ぶ神聖な境界線(ゲート)として機能し続けているのです。
現在でも、日々の穢れを清め、運気を開くパワースポットとして厚い信仰を集めており、心身の浄化や良縁成就を願う参拝者が後を絶ちません。