マグロのカマ焼き絶品攻略法|魚屋が明かす臭み取りと極上の焼き方

マグロのカマ焼き絶品攻略法|魚屋が明かす臭み取りと極上の焼き方

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マグロのカマ焼きを成功させるための勝負は、火をつける前の段階で8割決まります。鮮魚専門店や仲卸の職人が「カマだけは絶対にそのまま焼くな」と警告する背景には、カマという部位特有の構造的要因が存在します。

カマはエラの後ろから胸ビレの周辺に位置し、マグロが生前もっとも激しく動かしていた筋肉の一部です。同時に血管が集まる急所でもあり、エラから入り込んだ雑菌や酸化した血液が骨の隙間に残留しやすい性質を持ちます。この血液と脂質が混ざり合って空気に触れることで、独特の生臭み成分であるトリメチルアミンや酸化脂肪酸が発生します。水洗いだけで済ませて焼いてしまうと、熱によってその悪臭が脂全体に回り、到底食べられない生臭い仕上がりになってしまうのです。

生臭さを完全に絶つための鉄則は、浸透圧と熱変性を利用した「振り塩と湯霜(ゆしも)」です。

まず、表面全体に強めの塩(全体重量の約1.5〜2%)をまんべんなく振り、常温で20分〜30分放置します。浸透圧の働きにより、臭み成分を含んだ余分な水分(ドリップ)が表面に浮き出てきます。この水分をキッチンペーパーで徹底的に拭き取った後、ボウルに置いたカマへ沸騰した熱湯を回しかけます。表面のタンパク質を一瞬で凝固させることで、残存する微細なウロコや固まった血糊を浮かせ、脂の酸化膜を洗い流す効果があります。湯をかけたらすぐ冷水に落とし、骨の隙間にこびりついた黒い血合いの塊を指先や歯ブラシで丁寧にかき出してください。最後に水気を完璧に拭き取れば、臭みのない極上の下準備が完了します。

また、冷凍のマグロのカマを扱う場合、常温放置や電子レンジによる急速解凍は厳禁です。細胞破壊によって旨味成分であるイノシン酸がドリップとして大量に流出し、身がパサつく直接の原因になります。もっとも推奨される方法は「温塩水解凍(氷水解凍)」です。水1リットルに対して塩30g(海水と同等の約3%濃度)を溶かしたぬるま湯(約35〜40℃)に凍ったカマを1分ほど浸して表面の汚れと酸化油を落とし、すぐに取り出してペーパーに包み、冷蔵庫のチルド室で半日かけてじっくり芯まで解凍させます。このひと手間で、解凍後もドリップを出さず、獲れたてのような弾力とみずみずしさを維持できます。

松本 悠斗
著者

松本 悠斗

マネー知識やキャリア形成に役立つノウハウを、初心者にも分かりやすく解説するのが得意です。