「手打蕎麦 渡邊」を語る上で絶対に外せない看板メニューが、数多くの食通から絶賛を浴びる「鴨せいろ」です。供された瞬間に立ち上る香ばしい葱の薫香と、上質な鴨肉から滲み出た芳醇な脂がつゆ一面に黄金色の輪を描きます。濃厚な旨味を湛えた温かいつゆに、冷たく引き締まった手打ち蕎麦をくぐらせる瞬間は、まさに至福のひとときです。鴨肉特有の弾力とジューシーさ、丁寧に焼き目のつけられた千住葱の甘みが絶妙なハーモニーを奏で、最後の一滴まで蕎麦湯で余すことなく堪能できます。
さらに特筆すべきは、新宿西口という超一等地にありながら、驚くほど誠実な価格設計を維持している点です。せいろは650円、ざるそばは750円、しっかりとボリュームを愉しめる「重ねせいろ」でも950円という設定は、昨今の物価高騰下において驚異的とも言えるコストパフォーマンスを誇ります。
また、おろしそば(950円)、とろろそば(950円)、冷山菜そば(1,000円)、納豆そば(1,000円)、さらには多彩な風味を楽しめる「そば三昧(1,300円)」など、季節や体調に合わせて選べるバリエーションの豊かさも魅力です。昼時にはしっかりとしたランチとして、また午後や夕方には板わさや玉子焼きをつまみながら日本酒を傾け、最後にせいろで締める「蕎麦前」の場としても、多くの呑兵衛を惹きつけて止みません。