日本国内の急性心不全入院患者の平均年齢は78歳を超えており、後期高齢者が大半を占めています。現場の医療従事者や介護現場が最も警戒すべきは、肺水腫 高齢者 急変特有の「非典型的な臨床像」です。
高齢者の場合、加齢に伴い生体反応が鈍麻しているため、典型的な「胸の痛み」や「明らかな息苦しさ」を言語化して訴えないケースが頻繁に見られます。救護に当たった訪問看護師や介護職員の記録を紐解くと、急変の2〜3日前から以下のようなサインが現れていた事例が散見されます。
「普段よりも食欲がなく、食事を半分以上残すようになった」「日中もぼんやりとして傾眠傾向が強くなった」「夜間に何度も起き上がり、理由もなくソファーに座り直していた」――これらは全て、軽度の低酸素血症や消化管鬱血によって引き起こされていた肺水腫の初期兆候です。
在宅医療や病棟で急変を予知・予防するために欠かせない肺水腫 看護 観察項目の要点は、徹底した「数値の推移把握」にあります。
第1に「毎日の体重測定」です。脂肪や筋肉が数日で1kg以上増えることはありません。2〜3日のうちに体重が1.5〜2kg以上増加している場合、それは体内に約1.5〜2リットルの余分な水分が貯留している動かぬ証拠です。足の甲や脛(すね)を指で強く押したときに痕が残る圧痕性浮腫(下腿浮腫)や、首の血管が太く浮き出る頸静脈怒張は、肺水腫一歩手前の重大な危険信号です。
第2に「安静時の呼吸数」です。成人の正常呼吸数は1分間に12〜20回ですが、パルスオキシメーターの血中酸素飽和度(SpO2)が低下するよりも前に、代償作用として呼吸数が24回以上に増加(頻呼吸)します。浅く速い呼吸が続いていないか、息を吸うときに肩が上下する肩呼吸や小鼻が広がる鼻翼呼吸が見られないかを観察することが、急変を未然に防ぐ生命線となります。