鈴木央氏の人物像を語る上で欠かせないのが、その卓越したキャリアと、周囲の漫画家や編集者を驚愕させてきた「天才エピソード」の数々です。
四大少年誌すべてに足跡を残した唯一無二の経歴
鈴木氏は福島県須賀川市出身。1994年に『週刊少年ジャンプ』の「ホップ☆ステップ賞」佳作を受賞してデビューしました。その後、1998年に同誌でゴルフ漫画の金字塔『ライジングインパクト』の連載をスタートさせます。
『ライジングインパクト』は一度連載終了(打ち切り)の憂き目に遭いながらも、読者からの熱烈な嘆願ハガキによって異例の「連載再開」を勝ち取った伝説的作品です。その後、格闘漫画『Ultra Red』の連載を経てジャンプを離れ、『週刊少年サンデー』へ移籍。フィギュアスケートを題材にした『ブリザードアクセル』や、痛快な不良アクション『金剛番長』をヒットさせました。
そして2012年、『週刊少年マガジン』にて『七つの大罪』の連載を開始。講談社漫画賞を受賞するなど、看板作家としての地位を不動のものにしました。集英社、小学館、講談社、秋田書店(チャンピオンでも読切掲載経験あり)という日本の主要少年漫画誌の第一線で結果を残し続けた経歴は、極めて稀有な足跡です。
メディア露出で明かされた「爽やかな素顔」
漫画家の素顔は非公開とされるケースも少なくありませんが、鈴木央氏は公の場にも度々登場しています。CS番組『漫道コバヤシ』をはじめとする特集番組や、原画展の取材、YouTubeの公式企画などでその素顔を確認することができます。
画面に映る鈴木氏は、長年過酷な週刊連載を続けているとは思えないほど引き締まった体躯と、柔和で爽やかな笑顔が印象的な人物です。大の酒好き・ビール好きとしても有名で、インタビューでは作業の合間や原稿アップ後の晩酌を何よりの楽しみにしていると率直に語るなど、気取らない人柄がファンから深く愛されています。
下書きなしで描き進める驚異の執筆スピード
業界内で最も語り継がれている天才エピソードが、その作画スピードと正確性です。通常、漫画の執筆は綿密なネーム作成から始まり、青鉛筆などで下書きを入れた上でペン入れを行うのが標準的な工程です。
しかし、当時の担当編集者や仕事場を取材した番組の証言によると、鈴木氏は頭の中ですでに完成したコマ割りと構図が完全に出来上がっているため、下書きをほとんど必要とせず、迷いなく主線を引き始めるといいます。アクションシーンにおける複雑なパースや群衆描写であっても、一発描きに近いスピードでペンを走らせる姿は、同業者からも「神業」と称賛されています。