歯磨き前にフロスを通すべきもう一つの決定的な理由は、歯磨き粉に含まれる「高濃度フッ素」の浸透効率にあります。虫歯の発生部位として圧倒的に多いのが、歯と歯が接している「隣接面」です。この部位をいかにフッ素でコーティングし、再石灰化を促せるかが虫歯予防の成否を分けます。
しかし、歯間にネバネバしたバイオフィルム(細菌の膜)が詰まったままブラッシングをしても、フッ素はプラークに遮られてエナメル質まで届きません。あらかじめフロスで汚れをリセットしておくことで、歯磨き粉の泡に含まれる有効成分が歯の隙間へダイレクトに行き渡る環境が整います。
さらに、効果を高めるためにはブラッシング後のすすぎ方も重要です。歯磨き粉のフッ素を残すため、すすぎの水は「大さじ1杯程度(約15ml)で1回だけ、数秒間ゆすぐ」のが現代の予防歯科におけるスタンダードです。フロスを先にしておけば、歯磨き後に何度も口をゆすいでフッ素を流してしまう失敗も防ぐことができます。