ネット上や一部のメディア論調において、「ワールドカップの出場枠が48カ国に拡大したのだから、日本代表の目標であるベスト8進出は容易になった」という楽観論が散見されます。しかし、これは大会構造の本質を見誤った致命的な錯覚です。
大会方式の変更により、本大会は3カ国ずつのグループではなく、4カ国×12グループで構成され、上位2カ国に加えて3位のうち成績上位8カ国が決勝トーナメントに進出します。つまり、ノックアウトステージは従来の「ベスト16」から「ベスト32」へと1回戦分増加しました。悲願であるベスト8に到達するためには、グループリーグ突破後にトーナメントで「2勝」を積み上げなければならず、試合数も従来の最大7試合から8試合へと増加しています。
さらに見逃せない盲点が、広大な北中米(アメリカ・カナダ・メキシコ)を舞台とする「過酷な移動距離と時差、そして気候変動」です。東西で数千キロ離れた都市間を移動し、標高2,000メートルを超える高地(メキシコシティなど)から湿度の高い沿岸部まで、環境の激変に耐え抜くコンディショニング能力が求められます。控え選手の選手層の厚さや、メディカル・ロジスティクス体制の巧拙が、純粋な戦術以上に勝敗を左右する構造となっています。
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