このわたとは何の部位?日本三大珍味の正体と旨い食べ方を徹底解説

このわたとは何の部位?日本三大珍味の正体と旨い食べ方を徹底解説

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「このわた」を漢字で表記すると「海鼠腸」と書きます。この文字が示す通り、原料となっている生物は棘皮動物に分類される「ナマコ(海鼠)」の内臓(主に消化管・腸)です。古来、日本ではナマコのことを単に「コ(海鼠)」と一文字で呼称していました。そのため、「コ」の「はらわた(内臓)」を指す言葉として「このわた(子の腸・海鼠の腸)」と呼ばれるようになったのが名称の由来とされています。

製造工程は極めて過酷かつ緻密です。水揚げされた生きたマナマコを割き、細い管状の腸を一本ずつ傷つけないよう取り出します。腸内には海底の泥や砂が詰まっているため、熟練の職人が指先でしごき出し、清らかな塩水で幾度も洗浄を繰り返します。ナマコ1匹から得られる腸はわずか5グラムから10グラム前後に過ぎず、小瓶1本分(約80g〜100g)の製品を作るためには、優に数十匹規模のマナマコが必要となります。

下処理を終えた腸に均一に天然塩を振り、樽の中でじっくりと低温熟成させることで、内臓が持つ自己消化酵素によってタンパク質が遊離アミノ酸へと分解され、特有のとろみと芳醇な磯の香気が醸成されます。江戸時代には尾張徳川家から将軍家へ献上されるなど、古くから幕府や公家への献上品として格別の扱いを受けてきた歴史を持ちます。

高橋 健太
著者

高橋 健太

Webメディアでの編集・執筆歴10年。読者の好奇心を刺激するストーリー作りを心がけています。