今でこそ愛されキャラとして認知されている強面俳優たちですが、そのキャリアは決して順風満帆なものばかりではありませんでした。世間に定着した強烈な悪役イメージは、私生活において深刻な弊害をもたらすこともありました。
かつて街を歩けば本物の不良や暴力団関係者に絡まれたり、警察から頻繁に職務質問を受けたりといったトラブルは日常茶飯事だったといいます。家族で出かけた飲食店で周囲の客から警戒され、子どもが通う学校の行事に参加するだけで余計な詮索をされるなど、私生活における精神的負担は計り知れないものがありました。
また、ネット上では「若い頃は本物のヤクザだったのではないか」「暴力的な性格なのではないか」といった根拠のない憶測が飛び交うことも珍しくありません。しかし、実態は全く異なります。彼らの大半は、学生時代に劇団で泥臭く基礎演技を叩き込まれた演劇青年や、地道なオーディションを何十回も受け続けて役を勝ち取ってきた叩き上げのプロフェッショナルです。
卓越した観察眼と日々の節制によって「凄みのある肉体と表情」を人工的に作り上げているのであり、反社会的勢力とは一線を画す厳格なコンプライアンス意識を持って活動を続けています。本物と見紛うほどの迫真の演技は、天性の粗暴さではなく、徹底した演技論とプロ意識の結晶です。