「まるで別の惑星に降り立ったようだ」。探検隊を率いたフランス人地質学者のピエール・ルロワ氏は、息を呑みながらそう語った。今回発見された洞窟システムは、全長数十キロメートルに及び、内部には高さ100メートルを超える巨大なドーム状の空間が点在している。光の届かないこの迷宮で、独自の進化を遂げた生物たちは、私たちが知る生態系とは全く異なるサイクルで生きていた。
特筆すべきは、光合成に依存しない化学合成細菌の存在だ。洞窟内の温泉地帯から噴き出す硫黄化合物をエネルギー源とするこの細菌群は、深海熱水噴出孔以外では極めて珍しい。この発見により、生命の起源に関する研究が劇的に進展する可能性があると、科学界は沸き立っている。