便の中に小さな黒い粒が点在している場合、その発生メカニズムは大きく「消化されなかった食物の残渣(ざんさ)」と「消化管内で変色した血液成分」の2系統に分かれます。
人間の消化酵素は万能ではありません。特に植物の外皮や種子に含まれる不溶性食物繊維は、胃酸や膵液でも分解されずにそのまま大腸を通過します。胃腸の蠕動運動が活発なときや、早食いによって咀嚼が不十分だった場合、これらの食材が黒いゴマのような粒の正体として便の表面や内部に現れます。
一方で、消化器系からの出血が原因となるケースも存在します。胃や十二指腸といった上部消化管で出血が起きると、血液中のヘモグロビンに含まれる鉄分が胃酸や腸内細菌、消化酵素によって酸化され、鮮やかな赤色から黒褐色の「ヘマチン」へと化学変化を遂げます。通常、まとまった出血であれば便全体が真っ黒になりますが、微量かつ断続的な出血であったり、腸内で凝固した微小な血腫が便に混ざり込んだりすると、肉眼では黒い斑点や粒のように観察されることがあります。
便に黒い粒が出る原因と理由を切り分ける最大のカギは、「粒以外の便自体の色」と「粒の硬さ・形状」です。通常の黄色〜茶褐色の有形便に固い粒がパラパラと混ざっているだけであれば、食事由来の残渣物である可能性が極めて高いと判断できます。