松崎家の歴史を語る上で欠かせないのが、森永太一郎の存在である。明治期、単身アメリカへ渡り、西洋菓子の製法を学んで「森永西洋菓子製造所」を立ち上げたパイオニアだ。敬虔なクリスチャンでもあった太一郎の開拓者精神は、やがて森永製菓株式会社という巨大企業へと結実する。
その事業精神を現代へと継承し、森永製菓の社長として長年にわたり製菓・食品業界を牽引したのが、昭恵氏の実父である松崎昭雄氏だ。昭雄氏は徹底した現場主義と合理的な経営手腕で知られ、激動の昭和から平成にかけての流通再編を乗り切った。父が醸し出す「伝統と合理主義」の空気感の中で育った経験が、昭恵氏の型破りでありながら人を惹きつけるパーソナリティの土台を作ったと言える。