生年月日の命式内に納音を持たない人であっても、時間の経過とともに巡り来る「後天運」によって誰もが納音現象を経験します。特に人生の大きな転換期となるのが、10年ごとに切り替わる大運の納音による影響です。
大運納音の期間に入ると、それまでの10年間で築き上げてきた価値観や社会的身分が根底から揺さぶられます。ある大手メーカーの元開発部長(50代男性)は、当時の手記で「大運納音を迎えた初年度、信じ込んでいた役員昇進の話が社内派閥の再編で一夜にして立ち消え、早期退職を余儀なくされた。当時は人生の終わりだと感じた」と述懐しています。このように、納音期における仕事や転職では、自らの野心や拡大路線が強烈な挫折に直面することが珍しくありません。新規事業の立ち上げや無理な投資、背伸びした転職は、納音のエネルギーによって「白紙」に戻されやすい傾向があります。
一方、1年ごとに巡る年運の納音で起こることは、より局所的かつ突発的な事象として現れます。業務上のミスによる信用の失墜、親しい同僚の離反、あるいは長年の不倫関係の清算など、潜在していた歪みが一気に表面化します。特に夫婦生活においては、潜在的な不満を抱えたまま形式的に継続していた関係が限界を迎え、納音を機に離婚や別れを選択する夫婦が急増します。長年蓋をしてきた課題が爆発し、関係のスクラップ&ビルドを余儀なくされるのが、後天運における納音の典型的な特徴です。