交番の掲示板に貼られた指名手配犯の写真。かつては、それが市民と警察を結ぶ最大の接点だった。昭和の未解決事件から平成の凶悪犯罪まで、私たちはあの写真を通じて、社会に潜む「日常の裏側」を意識させられてきた。しかし、2020年代半ばを境に、その風景は一変した。
主要都市の駅前や公共スペースでは、従来の紙に代わり、大型のデジタルサイネージがその役割を担い始めている。時間帯や通行人の属性に合わせて表示内容を切り替えるこのシステムは、従来のポスターよりもはるかに高い視認性を誇る。静止画だった容疑者の表情が、AI技術によって「もし現在も生きているとしたら」というシミュレーション動画として滑らかに動く。通行人は、思わず足を止めて画面を見つめる。