日常的に親しまれている魚介類の中には、魚偏を一文字も使わない熟字訓(当て字)や、魚類以外の部首を持つ漢字が数多く存在します。これらは形や獲れる情景がそのまま名前になったものです。
代表的な魚偏以外の魚介表記には、以下のようなものがあります。
・秋刀魚(さんま):「秋に獲れる、刀のような形をした魚」という意味がそのまま漢字になっています。大正時代以降に広く定着した比較的新しい表記です。
・太刀魚(たちうお):全身が銀白色に輝き、まさに「太刀」のように平たく長いため名付けられました。また、頭を上にして立ち泳ぎする姿から「立ち魚」に由来するという説もあります。
・烏賊(いか):カラス(烏)が死んだふりをして海面に浮いているイカをついばもうとした際、イカが長い腕でカラスを海中に引きずり込んで食べたという中国の故事(賊=害を与えるもの)から「烏賊」と書くようになりました。
・海老(えび):長いひげを生やし、背中が丸曲がった様子が「海の老人」に見えることから、長寿の縁起物としてこの漢字が当てられています。
・海月/水母(くらげ):海に浮かぶ姿が月のように見えることから「海月」、水に浮かぶ母体のような質感から「水母」と表記されます。